卵×コレステロール研究を見るときは資金源にも要注意【文献紹介】

卵と資金源食品・栄養情報
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みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。

食事性コレステロール(およびそれがたくさん含まれる卵)と健康との関連を見た研究はたくさんあります。そしてそれらは,必ずしも結論が一致しているわけではありません。

結論が一致しない理由にはたくさんの要因があります。それらを事細かく検討しなければなりませんが,その中で結論が研究資金の出どころに左右されるかもしれないとする研究がありました。今回はそれを紹介します:

研究の概要

要約

  • 血中コレステロール濃度と食事(卵摂取)についての研究で,特定の産業界からの資金提供が結果と結論の一致に与える影響を検討
  • 特定の業界からの資金提供によって行われた研究の方で,結果と結論が一致していない割合が高かった(資金提供:49%,非資金提供:13%)

方法

選択された論文

2019年3月8日までに公表された論文で "egg","cholesterol"が含まれる文献を検索しました。そして下記に該当する論文が選択されました:

  1. 成人を対象にした観察研究,介入研究,症例報告,システマティックレビュー,メタアナリシス
  2. 卵または卵含んだ製品の摂取を評価
  3. 総コレステロールまたはLDLコレステロール濃度を含む調査した研究

資金提供の判定

今回の研究では,特定の業界からの資金提供や協力の影響に焦点が当てられています。特定の業界には,卵や家禽関係,卵由来の栄養製品に関する企業等が含まれます。

これらの業界の関係者(コンサルタント,雇用関係含む)や業界から資金の提供を受けている場合に「業界からの資金提供(industryfunded)」とみなされました。

なお,上記の業界に属さない企業等からの資金提供や政府等からの資金提供については,卵の販促を目的しない場合には業界からの資金提供とはみなされませんでした。

結果と結論の一致の判定

「特定の業界からの資金提供」の有無によって,結果と結論との間に一致が見られるか?というのが本研究で最も重要な検討事項です。

結果と結論の一致については,報告された効果(effect)がその後の論文の結論(一般的にAbstractやDiscussion,Conclusionに書かれる)と一致しているかが評価されました。効果は,LDLコレステロールもしくは総コレステロールの変化を対照群やベースライン時との比較によってなされました。

結果

検索により936件の文献が見つかり,そのうち上記の基準を満たした研究は211件でした。そのうち観察研究27件,介入研究172件,ケースレポート3件,システマティックレビュー9件でした。

得られた結果(効果)と結論との一致は,介入研究について検討されました。ただし,172件のうち19件ではコレステロール濃度に関する卵の影響を見ることができませんでしたので,残りの153件について検討されました。153件の研究について,特定の産業界からの資金提供の有無別に卵のコレステロール値に与える効果をまとめたのが下記のグラフです:

特定の産業界からの資金提供の有無別 卵の摂取がコレステロール値に与える効果
Resultの記述より作成

続いて下記には,特定の業界からの資金提供の有無別に,結果等で報告された効果と著者による結論の一致していない文献の割合を示します:

特定の産業界からの資金提供の有無別 効果と結論が一致していない文献の割合
資金提供あり資金提供なし
不一致の割合49(%)13(%)
Table2 より作成

特定の業界からの資金提供を受けた論文の方で,効果と結論の不一致が見られる割合が高いことがわかりました。

まとめ・雑感

さて,本レビューから得られる教訓はシンプルです。卵に関する研究報告を解釈する際には資金の提供元に注意することです。

資金提供を受けて研究を実施することは,それがたとえ利益相反に関係するような企業からのものであったとしても,それ自体が問題というわけではありません。本レビューにおいても,特定の産業界からの資金提供の有無が,研究の客観的な結果を変更していないことを認めています。

しかし,その著者による解釈には影響している可能性があります。特に,卵の摂取によってコレステロールが増加したものの,統計的に有意でなかった場合の解釈には注意が必要としています。この場合の結果の解釈は,有意差検定の結果だけで判断すると「増加しているとは言えない」あたりが正しいのではと思います(信頼区間等も加味したいところですが)。しかし,「有意に増加していなかった」→「増加させなかった」と解釈されてしまうこともあります。この辺りについては,資金提供を受けた研究だけに限った話ではありませんが,“特に”特定の業界からの資金提供を受けた研究では注意が必要ということになろうかと思います。

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