食品に付されたエネルギー情報が心理・生理的応答に与える影響【文献紹介】

食品・栄養情報

みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。

市販されている食品や外食なんかでで料理を食べる際,表示されているエネルギー情報は,非常に気になるところです。食べた後にエネルギー情報を見て,意外とエネルギーが高かったことを知って,「別の料理にしておけば良かった…」と後悔したこともしばしば。

私は管理栄養士ですので,食品や料理を見ると,なんとなーくエネルギー量は把握できます(“なんとなーく”ですよ!)。思ったよりも表示されているエネルギー量が高いと,食べた後に罪悪感を覚えることもあります。逆に,食べる前から思ったよりもエネルギー量が低いことが分かっている場合,味の物足りなさを通常よりも感じようとしてしまうことがあります。

このように,表示されているエネルギー量は,私たちに何らかの影響を与えているのだと,私は感じています。今回紹介する研究は,そういった食品に表示されているエネルギー情報が,食べた人の心理・生理的応答に与える影響について検討しています。

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研究の概要

要約
  • 466kcalのフレンチトーストを,500kcalもしくは1,000kcalであると表示して,それぞれを食べた際の生理的応答や心理状態を比較
  • 1,000kcalと表示した場合で,甘さ・脂っぽさ・摂食への後ろめたさが有意に高かった

方法

21~24歳の女性12名(管理栄養士養成課程在籍の大学生10名+管理栄養士の大学院生+他学科の大学生)を対象に実施した,ランダム化クロスオーバー試験。

466kcalのフレンチトーストを,500kcalもしくは1,000kcalと表示された上で食べ,それぞれを食べた場合の心理・生理的応答を比較しています。それぞれの表示の場合で,下記のようにエネルギー以外の情報も付記されています:

転載)鈴木麻希 他:食品に付したエネルギー情報の違いと摂食者の心理・生理的応答─ 若年女性における検討─. 栄養学雑誌, 2020, 78.5: 223-231.

心理的応答として,嗜好調査およびVAS質問紙による食欲感覚・摂食への抵抗感が測定されました。また,生理的応答として,唾液中α-アミラーゼ濃度・エネルギー消費量と食事誘発性熱産生の評価が実施されました。

結果

味については,「美味しさ」は500kal表示と1,000kcal表示では有意な違いは見られませんでした。しかし,「甘見」と「脂っぽさ」では,1,000kcal表示の方で有意にスコアが高くなっていました。

また「摂食への後ろめたさ」についても,1,000kcal表示の方で有意にスコアが高くなっていました。

また生理的応答について,エネルギー消費量には差がありませんでした。α-アミラーゼ濃度は,摂食によって500kal表示と1,000kcal表示の両方で上昇しており,特に1,000kcal表示の方は統計的に有意な上昇でした。

まとめ・雑感

この研究は,被験者が少ない・若年女性(しかも栄養学を学ぶ学生が多い)である・試験食が1種類である等の限界はあるものの,かなり面白い研究だなと感じます。

ただし,上記のような限界のため,この研究を一般的な対象者や食事に一般化するのは非常に困難でしょう。特に今回の被験者は,12名のうち11名が栄養学についての知識を持つ方です。そのため,たとえ同じ若年女性であっても一般化するのは難しいかもしれません。栄養学の知識を持たない成人男性であれば尚更でしょう。

さらに,研究の蓄積具合からみても,この研究を実生活に取り入れるのは時期尚早でしょう。加えて,食品表示法により,食品や料理には正しいエネルギー情報を表示する必要があります。そのため,市販食品や外食等で表示するエネルギー量をコントロールすることはできません。このことも,本研究の結果の活用を難しくさせます。

しかしながら,せっかくなので,何らかの日常生活への活用方法を見いだしたいところ。無理矢理ひねり出すとすれば,「自分でこのエネルギーは『○○カロリーである!』と信じて食べる」ことでしょうか。とはいえ,それが有効かどうかは不明ですし,含まれている食品のエネルギーを高めに信じるべきか低めに信じるべきかも判断が難しいですね。というわけで,本研究の実生活の活用については,やはり保留かなぁというのが結論です。

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