「味噌や醤油を控えめに」する前に考慮すべきこと

食品・栄養素
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みなさん,こんにちは.
シンノユウキ(shinno1993)です.

日本の伝統的な食材といえば味噌や醤油。
それらを使用することで,他にはない風味を料理に与えてくれます。

そんな味噌や醤油ですが,食塩が多く含まれるということで,しばしば敬遠される傾向にあります。高血圧を予防するために「味噌や醤油を控えめにしましょう」という指導を受けた/行った人もいらっしゃるかもしれません。

今回はそれらを行う際に,考慮したい研究を紹介します:

ざっくりいうと,

  • 味噌・醤油のポーションサイズ(一回摂取量)と血圧との関連は見いだされなかった
  • そうなった理由は,醤油・味噌のポーションサイズが大きい人がカリウムの多い食品を食べていたからかもしれない

となります。

今回紹介する研究は,日本人を対象に味噌と醤油のポーションサイズの大きさと血圧との関連を調査しています。その結果,味噌・醤油のポーションサイズと高血圧との間に関連は見いだされませんでした。

このようになった原因として,味噌・醤油のポーションサイズが大きい人は,カリウムの多い食品(野菜・果物・魚)の摂取量が多いからである可能性が考えられます。
本研究は,日本の国民健康・栄養調査のデータを利用しています。食事内容の収集は,1日間の食事記録によって行われました。ポーションサイズは,味噌や醤油を使用した重量をその料理数で割った値となります。年齢や,BMI・アルコール摂取などの血圧に関連する要因を調整したロジスティック回帰分析によって,高血圧のリスクは算出されました。

味噌や醤油には多くの食塩が含まれます。
食塩の過剰摂取が高血圧に関連していることは明白なので,味噌や醤油のポーションサイズ(1回使用量)が大きい人では,高血圧になりやすいのでは?と予測されました。

しかし,実際には関連は見つかりませんでした。味噌・醤油のポーションサイズが大きいことが,高血圧の有無と関連していなかったのです。

なぜこのような結果になったのでしょうか。
その理由として,味噌・醤油のポーションサイズが大きい人は,カリウムの多い食品(野菜・果物・魚)の摂取量が多かったことが関係している可能性が考えられます。本研究では,味噌・醤油のポーションサイズが大きくなるにつれ,野菜や果物,魚などの摂取量が増加し,反対に肉や牛乳,菓子などの摂取量が減る傾向にありました。カリウムには食塩を体外に排泄する働きがあるために,このような結果になった可能性があるのです。

もちろん,本研究のみで断言はできないでしょうが,味噌や醤油のポーションサイズが大きい人は,魚料理に醤油や味噌を使用したり,味噌汁に野菜を多く入れたりする傾向にあるのかもしれません。それらが,醤油や味噌に含まれる食塩の悪い作用を緩和してくれたと考えることもできます。これを直接裏付けるわけではありませんが,味噌汁の習慣的な摂取頻度が,血圧に関連していなかったとする研究もあり,一概に,それらの食品の摂取を制限することは懸命でないかもしれないのです(参考)。

もし「味噌や醤油を控えてください」とアドバイスし,対象者が味噌や醤油の使用量を減らしたり,あるいは0にした場合。もしかしたら,健康に良いとされる食品の摂取までも減ってしまうかもしれず,それによるデメリットと,減塩によるメリットは,もしかしたら釣り合わないかもしれないません「味噌や醤油を控えめに」と指導することを考えた際に,少し思い出して頂きたいなと思うお話であります。

今回紹介している研究は横断研究です。したがって,直接に因果関係を明らかにしたわけではありません。ポーションサイズが小さかった人の中には「味噌や醤油は血圧が上がるから少なめにしよう」と考えた人もいるかもしれません。その場合,血圧が高くなった→ポーションサイズを小さくした,という風に因果関係が逆転してしまう可能性があります。今回の研究の解釈に注意を要する点として追記しておきます。
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