痩せたい方への食事記録のすゝめ|スマホを上手く活用しよう

栄養情報

みなさん,こんにちは.
シンノユウキ(@y_stadio)です.

私は,何かを減らしたい・増やしたいならば,その動きを可視化できるようにしましょう,それが成功した時点でその目的も半分は達成できたも同然だと,常々言っています.これは真実だろうなぁと漠然と思っていました.

具体的な例をあげると,お金を増やしたい,節約したいというのであれば,正確に家計簿を付けること.これが成功の近道だと信じています.また,時間を上手く使えるようになりたい,一日に自由に使える時間を増やしたいというのであれば,普段使っている時間を記録することが重要になるでありましょう.

そしてこのことは,食べる量を減らし,体重を減らすダイエットにおいても同様だと,私は思っています.今回は,食事を記録することによる体重減少効果,またそれを手軽に行うためのモバイル電子端末の活用について紹介します.

では行きましょう!

食事を記録すると痩せる?

レコーディング・ダイエットに効果はあるのか?

レコーディング・ダイエットって聞いたことありますか?私はあります.Wikipediaから引用すると,以下のような感じになります:

レコーディング・ダイエットとは、岡田斗司夫が著書『いつまでもデブと思うなよ』(新潮社、2007年。ISBN 978-4106102271)で紹介したダイエット法である。2006年4月頃より、岡田斗司夫が実践・開発したダイエット法の一つで、日々摂取する食物とそのエネルギー量を記録することで、自分が摂取しているエネルギー量、食事の内容、間食などを自覚し、食生活の改善につなげるというものである。

とにもかくにも,食べたものを記録しようというのがレコーディング・ダイエットです.この発端となった書籍が出版されたのが2007年.この記事を書いている今日は2019年なので,12年も前の話です.かなり前のことですね.

でも,それでもこの時のことはよく覚えています.私の母親もやっていたような気がしますし,私もちょうど栄養学に興味を持ち始めた時期でしたから,簡単にでも記録していてたような気がします.

当時は,この方法で痩せた!という話を,私の周りでもチラホラと聞きました.ただの経験談のようなダイエット法ですが,以下で示すように科学的な根拠も認められていたりします.

メタアナリシスの結果

ずばり,食事を記録することで痩せられるのか.

結論からいうとこれは可能です.食事を記録することで痩せることができます.いくつかの体重管理プログラムを評価し,それがどの程度の体重減少に寄与しているのかを調査した研究があります1.その結果,食事を記録し,エネルギー摂取量をモニタリングした場合,平均して-3.3kgの体重減少をもたらすことを報告しました.

どうやら,食事を記録することで,体重が減る方向に行動を変容させられると考えて問題ないようです.

ただし,スマホ全盛の現代を生きる私たち.もはや紙による記録は行わないかもしれません.ほとんどの人がスマートフォンやタブレット端末などのモバイル電子端末を持っています.以下では,この活用について紹介します.

より手軽なモバイル電子端末の利用

モバイル電子端末による食事記録アプリは,市場にたくさん出現しています.日本では「あすけん」はその代表といえるかもしれません.紙による食事記録は,エネルギー摂取量の計算なども非常に面倒になりますが,これらのアプリケーションを使用することでそれは非常に楽なものとなります.

紙による記録と効果に違いはない

モバイル電子端末を利用すると聞くと,まず考えられるのが紙での記録との効果の違いです.いくらモバイル電子端末での記録にいろいろ魅力的な点があるとしても,その効果が紙に劣ってしまうのではメリットは薄れてしまいます.

これについては,カナダのバーモント大学の研究者らが,2007年に報告した研究が参考になります2

この時代はまだ最初のiPhoneが市場に登場していない段階で,モバイル電子端末といえば,PDA端末(今で言うタブレット端末の機能制限版のようなもの)でした.これは,今のスマートフォンよりも使い心地が一般に悪いため,その効果は今のよりも過小に見積もられていると考えて差し支えないでしょう.

この研究では,PDA端末を使用して食事を記録した人と,紙を利用して記録した人とで,体重の減少量やアドヒアランス(しっかりと記録したか)を比較しました.

その結果,両者に大きな違いがないことがわかりました.どちらの方法で記録を行っても,効果に違いが見られなかったのです.このことから,従来の紙による食事記録を,モバイル電子端末で置き換えても,さほど問題なさそうであることがわかります.

食事の記録だけでも効果が望める

また1つ,非常に興味深い研究があります3.この研究では,モバイル電子端末による食事記録の効果を確認するために,以下の3つのグループに分けて,その後の体重の推移を確認しました:

  1. Simultaneous:体重と食事の記録+1週間ごとの講義+専門家によるフィードバックなど
  2. Sequential:最初の4週間は体重の記録のみ,その後はSimultaneousと同様
  3. App-Only:食事の記録のみ

これらのグループ分けだと,1のグループが最も効果が高そうに見えます.体重と食事の記録に加え,トラディショナルな臨床的介入も行われます.

2のグループは,最初の4週間は順応の期間ということで,段階的に介入を強めています.徐々に頑張っていこう,ということですね.

そして3つめのグループでは,食事の記録のみを行っています.この3つの中では,最も負担の少ないと考えられる介入です.

12週間の介入後,それぞれのグループの平均体重減少量を比較しました.その結果が以下のグラフです.

実際の介入は3ヶ月までですので,6ヶ月目の値は介入後の,ある意味リバウンドしていないかについての値になります.

これを見る限り,それぞれのグループにおいて,特段の違いは見られません.6ヶ月後まで効果が続いているという意味で,Simultaneousが最も効果があったという見方もできますが,食事の記録しか行っていないApp-Onlyがここまで奮闘していることには着目すべきでしょう.

一般的な減量希望者が,専門家によるサポートを受けることは簡単ではありません.いくつかのハードルがあるでしょう.費用や時間など,様々なコストもかさみます.その点,それらが不要な食事の記録だけである一定の効果が見込めるのであれば,取り急ぎ,それを行ってみても良さそうに思います.

アドヒアランスに注意

ただし,食事を記録するだけで痩せられるといっても,物事はそれほど簡単ではありません.重要なのは“しっかりと”食事を記録してもらうことです.

126日にわたって食事の記録を行ってもらった研究4では,期間中に多くの日数記録した人と,あまり記録しなかった人とで,体重の減少量を調べました.多くの日数記録した人を上位1/3の記録数だった人,あまり記録しなかった人を下位1/3の人としました.

その結果,多くの日数を記録した人で,体重の減少量が多いことがわかりました.

このことから,食事を記録することによる体重減少の前提として,それの遵守があることがわかります.よく考えてみると当然のことです.いくら食事記録に有用な効果があっても,それを行ってもらえないと元も子もありませんからね.

その点においても,スマートフォンなどを活用することは,有利に働くと考えられます.先に紹介した「あすけん」だけでなく,多くの便利な食事記録アプリケーションが登場しています.そしてそれは,これからも増えていくことでしょう.それらを活用しながら,いかに日常的に食事の記録を行えるようにするのかが鍵になってきます.

最後に補足ですが,今のところ,モバイル電子端末を利用することでアドヒアランスが高まるのかについては研究結果の一致が見られていません.しかし,使いやすい便利なアプリケーションの開発など,まだまだ改善の余地がある分野だと思っています.これからの発展に期待したいところであります.

まとめ

ではまとめます:

モバイル電子端末による食事の記録は,減量希望者の魅力的な選択肢となりうる

食事を記録することは,体重減少において有用です.そしてそれは,講義やフィードバックなど,トラディショナルな介入を抜きにしても,十分に魅力的なものでした.一般の減量希望者が個人の栄養士を雇ったり,毎週の講義に参加するのは,コスト的に負担があるでしょう.そのような場合,まずはモバイル電子端末による食事の記録を始めてみてはいかがでしょうか.ただし,重要なのは,“しっかりと”記録することです.使いやすいアプリケーションなどを使用することで,食事の記録をしっかりと続けてみてください.

参照

  1. Hartmann‐Boyce, J., et al. "Effect of behavioural techniques and delivery mode on effectiveness of weight management: systematic review, meta‐analysis and meta‐regression." obesity reviews 15.7 (2014): 598-609.
  2. Yon, Bethany A., et al. "Personal digital assistants are comparable to traditional diaries for dietary self-monitoring during a weight loss program." Journal of behavioral medicine 30.2 (2007): 165-175.
  3. Patel, Michele L., et al. "Comparing Self-Monitoring Strategies for Weight Loss in a Smartphone App: Randomized Controlled Trial." JMIR mHealth and uHealth 7.2 (2019): e12209.
  4. Wadden, Thomas A., et al. "Randomized trial of lifestyle modification and pharmacotherapy for obesity." New England Journal of Medicine 353.20 (2005): 2111-2120.
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