現代人に必須なリテラシー「自炊力」を身につける!『自炊力~料理(レシピ)以前の食生活改善スキル~』

みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。

私は管理栄養士という資格を持っています.栄養士に“管理”という言葉が付きますが,それほど大きな違いはなく(と私は考えています),栄養士とほぼ同義だと考えてくださって結構です.

栄養士というと,料理が上手という印象をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません.確かに,学校で出てくる給食だったり,病院で出てくる食事というのは,栄養士や管理栄養士の方が献立を作成し,場合によっては実際に調理することもあります.このようなことをご存知の方々は,栄養士=料理上手という印象を持っているかもしれませんね.

たしかに,私は一般の男性の平均と比べると料理は上手です.大学の授業で調理実習もありますし,調理学や調理科学といった勉強もしました.さらに,そもそも料理が好きで小学生のころから少し凝った料理(スパイスから作ったカレー,やたらと調味料にこだわった麻婆豆腐など)を作ったりしていました.

しかし,社会人となった今,自炊という意味での料理をまったく作らなくなりました.忙しいとか,面倒くさいとかの理由を付けて,外食や中食でほとんどの食事を済ませるようになりました.当然,食費はかさみ,栄養バランスも悪くなりがちになりました.

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「料理力」と「自炊力」

なぜ私が自炊をしない(できない)のか.

それは,私がもつ「料理力」と,自炊に必要な「自炊力」とが似ているようで違うからだと気づきました.

白央篤司氏(フードライター)が執筆された書籍:「自炊力」では,自炊力を以下のように定義しています:

私の思う「自炊力」とは、

  • 自分で買い物に行って、その場で献立を決められる
  • 食材の質と値段のバランスを考えつつ買い物ができる
  • その時に買ったもの、家にすでにあるもの取り混ぜつつ、数日分の献立を作り回していける
  • なおかつ栄養バランスを考えられる

といった能力の総合力です。

この文章を読んで,今まで釈然としなかった部分がやっと明らかになった気がしました.

私が幼少のころに作っていた料理は,あくまでも料理でした.それはもちろん,毎日の食事の一部として消費されますが,毎日コンスタントに作り続けられるものではなく,自炊という文脈での料理ではありませんでした.ビーフシチューを作ろうとして,日常の献立でほとんど使うことのないローリエや,飲まれることのない赤ワインをボトルで買ってきたり.趣味の料理では正解かもですが,自炊という意味では正しい選択ではありませんでした.

私には料理力はあったかもしれませんが,自炊力は皆無でした.

現代人が「自炊力」を身につけるとメリットが大きい3つの理由

しかし,現代人は,自炊力を身につけると多くのメリットがあります.その理由は主に以下の3つです:

  • 共働き夫婦が前提の社会
  • 自炊するための環境が整備
  • 人生100年時代の到来

まず,現代は共働き夫婦が当たり前の時代です.男性も女性もほぼ同等の時間や体力を仕事に捧げる.なので「料理などの家事は妻に任せる」ような時代ではありません.男性であっても女性であっても,自炊する必要がある時代なのです.

また,時間が無いを解消できるインフラの整備も行われました.少し前の時代だと,時間がないから自炊ができないというのは仕方のないことでした.しかし,現代はネットスーパーなどにより,インターネットから気軽にフレッシュな食材などを購入できるようになりましたし,時代の要請なのか,短時間で手早く料理できる「時短レシピ」がインターネットや書籍などで気軽に見られるようになりました.またスーパーマーケットでも,多くの種類のカット野菜や冷凍野菜を販売するようになりました.なので,以前より手軽に自炊できるようになったのです.これを活かさない理由はありません.

さらに,現代は人生100年時代と言われる時代です.100歳まで生きられるようになった,というよりは,多くの方が100歳くらいまで働く必要がでてきたと考える必要があります.その際,体が健康でないと働くこともできません.健康的な食事を摂ることは,健康を維持し,健康寿命を伸ばすために重要な要因になります.外食や中食だけでこれを達成できれば良いのですが,なかなかそうもいきませんので,自炊を行い,健康的な食事を自分で作る必要があるのです.

「自炊力」を身につけるための書籍

そんな大事な自炊について,そのハードルを下げ,自炊に向けての第一歩を踏み出すことを助けてくれるのが,先ほども紹介した「自炊力」です.

「とかく食事は外食やコンビニ頼り。けれどできれば自炊をしたい、始めてみたい」

と思われる方に「こんなことからでもいいのだな」と思ってもらえるきっかけに本著がなれば幸いです。

との言葉通り,本著では非常に低いハードルから自炊への橋渡しをしてくれます.

カップラーメンやインスタントラーメンにカイワレ菜をのせるだけでも、ゆでるときにカット野菜を一緒に加えるだけでも自炊です。なんなら、ゆで卵や温泉卵を1個加えるだけだって立派な「調理」であり、自炊への第一歩なのです。

また,たとえば第1章:作らずに「買う」ことだって自炊です では,そのタイトルどおり,コンビニで売られているものを栄養バランスよく組み合わせる「買う力」について解説しています.

自炊力というと「とにかく調理を!」と思われるかもですが、調理できない状況にある人はまず「買う力」から付けていきましょう。漠然と食べたいものを買う状態から、自分の買ったものが「主食・主菜・副菜」のうち、どれに構成されるのかを考えられればかなりの前進です。

買う力の次はちょい足しについての解説に移ります.そこで取り上げられているのが冷凍野菜.ちょい足しに便利な定番の野菜リストから,それを美味しくいただくためのコツ,また栄養価についても詳しく解説されています.

その後は自炊を持続するためのコツだったり,自炊初心者には難しい買い物の技術,さらには栄養に関する詳しいリテラシーについての記述まで,現代人が自炊を行うにあたって必要なことが事細かに記されています.

本書を読むことは「自炊力」を養う大きな手助けとなるでしょう.

「自炊力」は現代人に必要なリテラシーの一つ

「自炊力」は現代人に必要なリテラシーの一つだと痛感しました.今は家事代行サービスや,Uber Eatsなどの食材デリバリーサービス,また健康的な外食など,作らずに健康的な食事を行うための環境も整備されつつあります.私もこれらのサービスは利用していますし,これらからもするでしょう.

しかし,やはり自分で作れるというのは大事なことです.今の時代,いつ突然仕事を失うかわかりません.収入が少なくなった時,割高なそれらのサービスを使い続ける事ができるでしょうか?これらのサービスが使えない地方に異動になった際に,健康的な食事を維持できるでしょうか?そう考えた時,やはり自炊力は必要だよなぁと考えを新たにしたのです.

本書は,様々なことに色々な選択肢が増えた現代人にこそ読んでもらいたい一冊です.私も,最近になって定期的に自炊をするようになりました.今は,調理よりも,もっと時間を掛けたいことがありますので,最小限の時間で自炊をしています.冷凍野菜やカット野菜を積極的に使って,手間を掛けずに健康的な食事をとることができるように努力しています.少しでも興味が湧いた方,ぜひご覧ください.

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