【管理栄養士が選ぶ】栄養疫学のオススメ書籍10選【一般教養~大学院レベルまで】

栄養疫学
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みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。

3回に分けて,

  • 疫学
  • 統計学
  • 栄養疫学

のオススメ書籍を紹介している連載の第3回。最終回である今回は「栄養疫学」に関するオススメ書籍を紹介します。

前回は統計学のオススメ書籍について紹介しました:

栄養疫学は,管理栄養士としては専門と呼べる分野の一つでもあります。ですので,こちらに関しては前回の2回とは違って,ある程度は専門家としての自覚を持って書きたいと思います。

では行きましょう!

一般教養としての栄養疫学

ここで紹介するのは一般教養レベルの書籍です。決して内容がそれ以上のレベルのものと比べて劣っているというわけではなく,対象とする読者の違いとして見ていただければと思います。

佐々木敏の栄養データはこう読む!

東京大学大学院の佐々木敏先生が,月刊誌『栄養と料理』にて連載されていた記事を厳選し,一冊にまとめた書籍です。脂質に食塩に肥満にお酒,地中海食など食事や栄養に興味を持つ方は気になる話題ばかりだと思います。平易ながら,著者の人柄まで伝わってくる優しい文章で,栄養情報について解説されています。その解説を読むことで,栄養データの読み解き方を学ぶことができるのも特徴の一つです。

ただし,栄養学の専門家でない方には,本書を「難しい」と感じる方がいるかもしれません。実は,栄養学の専門家でない知人に本書を読んでもらったところ,「難しくてわからなかった」との感想をいただいたことがあります。具体的な箇所を聞いてみると,たとえば,本書の最初の方に出てくるキースの式。コレステロールや飽和脂肪酸の摂取が血清総コレステロールに影響することを示すために提示された式ですが,その見た目に拒否感を覚えたようです。

しかし,これは著者が根拠をしっかりと明示しながら,専門家でもその根拠を追えるようにしたからこそだと思います。つまり逆にいうと,本書は専門家でも十分に満足できる内容になっているとも言えます。読者層の観点から一般教養レベルにカテゴライズしましたが,これは専門家が読む本ではないという意味ではなく,むしろ専門家であれば必読の書といってよいでしょう

佐々木敏のデータ栄養学のすすめ

前述の『佐々木敏の栄養データはこう読む!』の姉妹書に該当する書籍です。前述の書籍が生活習慣病全般に対するものであったのに対して,こちらはより幅広い内容を網羅しています。そのため,より身近な問題として,本書を捉えることができるかもしれません。本書を紹介しようとすると前著と重複する内容も多くなろうかと思いますので,その多くは省略しますが,本書も専門職の方であってもぜひ読んで欲しい書籍です。

学部・卒論レベルの栄養疫学入門

次は学部レベルの統計学入門です。栄養学を専攻する学生が学部レベルで扱う範囲と考えていただいて差し支えありません。

わかりやすいEBNと栄養疫学

東京大学大学院の佐々木敏先生が執筆された,栄養疫学に関する入門書です。今回紹介する書籍には,佐々木先生が執筆された書籍が多く登場しますね。日本における栄養疫学の第一人者ともいえる先生なので当然そうなります。本書は栄養疫学はもちろん,疫学や統計学についても相応のページを割いています。研究デザインのたて方から,生活習慣病のエビデンスについてまで,非常に詳しい内容が掲載されています。日本で栄養疫学を勉強している方で,本書を読んでいない人はおそらくいないでしょう。学部生の方であれば,まず手にとってみて’ください。

日本人の食事摂取基準(2020年版)

栄養疫学についての専門書ではありませんが,「日本人の食事摂取基準(2020年版)」も掲載しておきます。食事摂取基準を正しく活用するためには正しい食事評価が不可欠です。それもあって,本書内には栄養疫学に関する知識が掲載されています。また巻末には,佐々木敏先生が書かれた「食事摂取基準を正しく活用するために」と題されたオリジナル資料がついています。こちらも非常に役に立ちますのでぜひ読んでみてください。

栄養疫学

残念ながら絶版なので,学生の方は図書館などで読んでください。栄養疫学のメッカであるハーバード大学公衆衛生大学院に留学し,栄養疫学の第一人者である Wallter C. Willett先生から指導を受け,共同研究も行った坪野吉孝先生が主に執筆された書籍です。そのためか,FFQ:食物摂取頻度調査法についての記述が多いことがわかります(疫学研究用にFFQを開発したのはハーバード大学が最初だからです)。日本語の書籍では,もっとも詳しく書かれた書籍ではないかと思います。開発から活用まで,しっかりと網羅されています。余談にはなりますが,本書の58-59ページに掲載されている表の名残は,多くの文献で散見されるものです。この書籍が与えた影響の大きさをおもんぱかることができます。

EBN入門

こちらも絶版です。でも,図書館にはあるはずですので,探してください。私も最初に読んだのは図書館です。こちらも,佐々木先生,また前出の坪野先生が著者の一人になっている書籍です。EBNという言葉が使われだした書籍だと思います。栄養学におけるエビデンスの作成や利用など,深く解説しています。私がこの書籍を読んだのは『わかりやすいEBNと栄養疫学』を読んだ後でしたが,それでも多くの学ぶべきことがありました。少し古い本ですが,ぜひ図書館ででも読んでみてください。

やや実務的な栄養疫学入門

栄養疫学は少し熱のはいる分野ですので,こちらの分野だけ「実務的な」とつくものが含まれます。

食事調査マニュアル

食事調査の具体的な方法について詳しく載っています。前出の書籍は,どちらかというと理論よりで,具体的な方法については掲載されていませんでした。こちらの書籍は,実際に食事調査を行う際に役立つ様々な情報が掲載されています。特に24時間思い出し方の標準化についてなど,ここまで具体的な内容を掲載した書籍は他にありません。食事調査ないし食事評価を行う場合,かならず手元においておきたい書籍です。調査の計画を立案する段階から役に立ってくれる書籍です。

食事摂取基準入門

こちらは食事摂取基準についての書籍ですが,実際に食事摂取基準を活用する際に必要となる知識が平易に書かれています。特に,食事摂取基準を用いて特定の個人や集団のアセスメントを行う際,食事評価によって得られたデータをベースに行うのが普通です。その際に注意すべきことなどが書かれています。本書は2010年の食事摂取基準に対応しているものであるため,内容は最新でなく,かつすでに絶版であるため,手に入りにくいのが残念なところですが,読む価値のある一冊です。 図書館等で読むのもの良いでしょう。

大学院レベルの栄養疫学

今度は大学院レベルです。当然ですが,内容的により高度なものとなります。

Nutritional Epidemiology

言わずとしれた名著です。先にも出てきた Wallter C. Willett 先生がその多くを執筆されている書籍です。この書籍の内容をしっかりと理解できれば,他の書籍から学ぶところはそれほど多くないかもしれません。それほど内容が網羅されています。この書籍の旧版は,[第2版]食事調査の全て として日本語に翻訳されています(すでに絶版)。最新版は日本語には訳されていないため,原著で読む必要があります。私は英語が苦手なので,Kindle版を購入し,辞書の助けを借りながら読み進めました。当然ながら,少々値は張りますが,それだけの価値はあります。今回紹介している書籍の中で,最もオススメする書籍です。

食事評価法マニュアル

残念ながらこちらも絶版です。名古屋市立大学の研究者らが,自身らの勉強のためにと, “Dietary Assessment Resource Manual” を翻訳したのが始まりです。つまり,論文の翻訳書のようなものです。その論文はこちらからダウンロードできます。食事評価法に関する体系的な文献であることはもちろんですが,翻訳書であることから,英語の勉強用としても活用しました。栄養疫学(食事評価)における英語の専門用語を,この翻訳書を対訳としながら学習していったという感じです。こちらの書籍は図書館などで閲覧するしかありませんが,原著は誰でも閲覧できますので,ぜひ読んでみてください。

番外編:未読本

管理栄養士では必須なスキル:24時間思い出し法について書かれています。食事評価法の流行はFFQやBDHQですが,個人のアセスメントの第一義的な方法は,この24時間思い出し法です。これがしっかりできるかどうかは,管理栄養士の専門性の一部を構成しています。そんな24時間思い出し法を詳細に解説した書籍です。ここまで詳細に解説している本は他にないので,ぜひ呼んでいただきたい書籍です。

まとめ

疫学,統計学,栄養疫学のオススメ書籍を紹介する連載。最終回である今回は栄養疫学についてでした。こちらは特に力がはいる分野であるため,紹介する書籍に絶版のものも多くなってしまいました。参考になるものがあれば,図書館などでも探してみてください。

連載目次

  1. 【管理栄養士が選ぶ】疫学のオススメ本8選【一般教養~大学院レベルまで】
  2. 【管理栄養士が選ぶ】統計学のオススメ本10選【一般教養~大学院レベルまで】
  3. 【管理栄養士が選ぶ】栄養疫学のオススメ書籍10選【一般教養~大学院レベルまで】現在のページ
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