荷重平均栄養所要量とは?【求め方も簡単に紹介します】

みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。

今回は荷重平均栄養所要量とは?について解説します。

私のブログにも,「荷重平均栄養所要量 とは」といったキーワードで訪れてくださる方がいらっしゃいました。残念ながらこれに該当する記事が存在しなかったので,今回書いてみようと思います。

Googleでこのキーワードで検索してみても,それらしい記事を見つけることができませんでした。これには,荷重平均栄養所要量というキーワードにも問題があるのかもしれません。これも含めて下記で解説したいと思います。

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荷重平均栄養所要量とは?

下記で荷重平均栄養所要量について紹介します。計算例も載せますので,言葉で理解するのが難しい方は,そちらを先に読んだ方が理解しやすいかもしれません。

栄養所要量を対象人数で荷重平均したもの

荷重平均栄養所要量とは,個々人に必要な栄養素量(栄養所要量)を,対象とする集団の人数で荷重平均したものをいいます。

献立を作成する場合,対象者が必要とする栄養素量を満たせるように計画しなければなりません。しかし,必要な栄養素量は個々人で異なります。

そのため,その集団に含まれる人のうち,より多くの人が必要量に近い栄養素量を摂取できるようにする必要があります。

個々人の必要な栄養素量を荷重平均することで,より多くの方で必要量に近い摂取量を算出することができます。

荷重平均栄養所要量の計算例

と,上記のように書きましたが,言葉だけで理解するのは少し難しいですよね?

実際に荷重平均栄養所要量の計算過程を見てみた方が,理解しやすいかもしれません。下記では,エネルギーを例に説明します。

たとえば,10人の集団において,必要なエネルギー量の分布が下記のようになっていたとします:

  • 2,000kcal:3人
  • 2,200kcal:5人
  • 2,400kcal:2人

この場合に,下記のように計算することで,荷重平均栄養所要量(エネルギー)を算出することができます:

(2,000kcal × 3人 + 2,200kcal × 5人 + 2,400kcal × 2人) ÷ 10人
= 2,180kcal

単純に (2,000kcal + 2,200kcal + 2,400kcal) ÷ 3 とするのではなく,人数によって重みをつけるのがポイントです。

上記ではエネルギーについてのみ紹介しましたが,ビタミンやミネラルについても同様の手順で算出することができます。

【参考】荷重平均栄養所要量 → 給与栄養目標量へ

さて,荷重平均栄養所要量という言葉。今ではあまり見かけません。これは,栄養所要量という言葉があまり使われなくなったことに関係していると考えられます。

日本人のエネルギーおよび栄養素の摂取量の基準を示す資料として,「日本人の食事摂取基準」があります。これには「エネルギー摂取の過不足の回避」に加え,栄養素の指標として「摂取不足の回避」・「過剰摂取による健康障害の回避」・「生活習慣病の発症予防」が示されています。

「日本人の食事摂取基準」は,2010年版に改定されるまでは「日本人の栄養所要量」として策定されてきました。しかし「所要量」は,基本的には「摂取不足の回避」が可能な量として使われる言葉。「過剰摂取による健康障害の回避」なども含まれる場合,「所要量」だけを示しているわけではありません。

そういった観点から,「日本人の栄養所要量」は「日本人の食事摂取基準」に更新される形で使用されるようになりました。それが徐々に浸透していく中で,食事摂取基準という言葉が栄養所要量に置き換わって使われるようになったと考えられます。

献立作成でも「所要量」だけについて考慮すれば良いわけではありません。上限が設定されている飽和脂肪酸や食塩相当量についても考慮する必要があります。

そのため,「荷重平均栄養所要量」よりは「給与栄養目標量」ないし「荷重平均食事摂取基準」という言葉が使われる傾向にあります。最近学校を出て栄養士になった方には「所要量」という言葉になじみがない方も多いかもしれませんが,「給与栄養目標量」であれば聞き覚えがあるのではないでしょうか。

考え方等については共通する部分も多いです。基本的には「給与栄養目標量」を使用すると良いでしょう(参考:給与栄養目標量|エネルギー・栄養素別の計算方法)。

まとめ

今回は,荷重平均栄養所要量とは?について解説しました。

個々人に必要な栄養素量を荷重平均することで,集団に対して食事を提供する場合でも,多くの方で必要量に近い値を算出できます。

現在では,同じような意味合いで「給与栄養目標量」が使用されます。今後検索する際などはこちらを使用するようにしましょう。

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