食事パターン分析のための食事コーディング・アプローチについて(アイルランドの研究)【文献紹介】

栄養疫学
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みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。

私たちが摂取する食品は無数にありますが,それらを有限な「一般的な食事」として分類し,コーディングすることで「食事パターン」として分析することが可能になります。今回はアイルランドの研究者らによって行われた,食事パターン分析のための食事コーディング・アプローチについての文献を紹介します。

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研究の概要

要約

  • 食事コーディング・アプローチにより,21,948の食事を63の「一般的な食事」に減らすことができた
  • 実際の食事と「一般的な食事」で栄養素摂取量を比較した結果,平均値は比較的一致していたが,エネルギー摂取量が有意に低かったなどの問題もあり,さらなる改善が必要と考えられた

方法

本研究は2008~2010年に行われた,アイルランドの国民栄養調査(NANS)で収集された4日間の食事記録データを使用しています。21,948の食事が収集され,それには2,319の食品が含まれていました。

この2,319の食品が20の食品群に割り当てられました。また食事も①朝食(breakfast),②軽食(light meals),③メインの食事(main meals),④間食(snack),⑤飲み物(beverages)の5つに分類されました。この5つの食事区分ごとに,頻出アイテム集合を検索するデータマイニング手法(頻出パターンマイニング)が用いられました。食品群の組み合わせが分類され,結果として63の「一般的な食事」が発見されました。それぞれの食事の栄養成分値の推定は,食事に含まれる食品の栄養組成を集約することによって行われました。

結果

その後,実際の食事とコーディング・アプローチによって作られた「一般的な食事」とで栄養素摂取量を算出し,比較しています。その結果について,代表的な栄養素等についてのみ下記に示します。エネルギーでは一般的な食事が有意に低い結果となっていました。下記の表には示していませんが,ビタミンや微量栄養素等でも有意な差が認められています:

実際の食事と一般的な食事との比較
(Table4より改変引用。p値はマンホイットニーのU検定による)
実際の食事一般的な食事p値
エネルギー(kJ)8431 ± 2747 7950 ± 1378 0.007
脂質(g)75.7 ± 29.4 71.7 ± 12.9 0.243 
飽和脂肪酸(g)29.7 ± 13.0 28.3 ± 5.5 0.893 
たんぱく質(g) 83.3 ± 26.9 80.1 ± 13.4 0.525 
炭水化物(g) 228.3 ± 78.9 218.2 ± 41.5 0.375 

加えて,実際の食事と一般的な食事との相関係数および一致(それぞれを四分位数で分類し判断)も示されています。下記のようになりました。比較的良い一致を示していますが,極端な不一致(真逆に分類)も5%程度見られています:

実際の食事と一般的な食事の相関係数と一致
(Table5を改変引用)
相関係数完全一致
(%)
完全一致
+隣接(%)
不一致
(%)
極端な
不一致(%)
エネルギー(kJ)0.463878224
脂質(g)0.393977236
飽和脂肪酸(g)0.403776246
たんぱく質(g) 0.433677235
炭水化物(g) 0.503880204

考察と感想

食品・栄養素と健康との関連を調査する研究は,単一の食品や栄養素について調査する研究から食事パターンや食事全体について検討する研究に視点が移りつつあります。通常,私達は単一の食品のみで食事を済ませることはありません。様々な食品を組み合わせて摂取します。そのため,単一の食品や栄養素について検討するよりも,それらを複合的に検討したほうが生理学的な側面からも妥当と言えそうだ,といった流れがあります。

加えてこの場合,1日を通した食事パターンというよりも,朝食・昼食・夕食・間食といった食事機会ごとに検討したいところです。消化・吸収は1日ごとに行われるのではなく,1食ごとに行われるものだからです。となると,「特定の食事機会に,どのような食事パターンで摂取しているか」を明らかにすることが求められます。しかしこれについてはあまり知られていません。考えてみれば当たり前ですが,食品の組み合わせはほとんど無限に近い数があるため,それらをすべて把握・検討することは無理な話です。

そこで,無限に近い数の実際に食べられている食事を,一定の手順によって限定的な「一般的な食事」に分類・コーディングしようという試みがが本研究です。

今回の研究では,実際の食事と「一般的な食事」のそれぞれで算出した栄養素摂取量を比較しています。その結果,実際の食事と「一般的な食事」の比較では,平均値では比較的に良い一致を示したものの,四分位数で分類した際に極端な不一致(真逆に分類される)がエネルギーで4%に見られました。このことは,本アプローチにおいてさらなる改善が必要なことを示しています。

まとめ

今回は食事パターン分析のための食事コーディング法について紹介しました。

アイルランドの研究ですが,実は日本でも同様の研究が行われており,それを用いた調査票の開発および検証も行われています。ご興味あれば,こちらもご確認ください。

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