みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。
私のブログ検索キーワードで「発注量 計算」があったりします。なるほど,需要があるのか,ということで今回記事にしました。栄養士の方々からすれば基本のことばかりですが,初めての調理実習などで発注量を計算しなくちゃいけない,という方はぜひ読んでみてください。
ではいきましょう!
廃棄率
廃棄率の計算方法
廃棄率は未加工の食材料に対して,食べる際に廃棄される部分が占める割合を指します。
たとえば,ほうれん草は根っこの部分を食べずに捨てます。ここが廃棄部位です。そして,廃棄部位がもとの食材量に占める割合のことを廃棄率といいます。
廃棄率は以下の計算によって算出できます:
具体的に,これをほうれん草に当てはめて計算してみます。
スーパーで買ってきたほうれん草の重量を80g,調理の際に株元に当たる部分を廃棄し,それが10gだったとします。上記の計算式に当てはめて計算してみると,以下のようになります:
例)ほうれん草80g,廃棄部位が10g の場合
廃棄率 = 10(g) ÷ 80(g)
廃棄率 = 0.125 → 12.5(%)
食品標準成分表の廃棄率について
実は食品標準成分表にも,食品ごとに廃棄率が収載されています。たとえば,ほうれん草だと株元の部分を廃棄するとし,その廃棄率を10%としています。
実際に廃棄率を活用するにあたり,この廃棄率を利用するのも手段の一つでしょうが,実際には調理者や施設ごとに,独自に廃棄率を算定することが望ましいと考えます。それは以下の2つの理由によります:
- 食品をどのくらい廃棄するかが食品や施設ごとに少しずつ異なるからです。この施設では根本から1cmを廃棄するけれど,こちらの施設では2cm廃棄する,というようなことはザラにあるでしょう。そのため,施設の方針や調理員の腕前などを勘案しつつ,施設ごとに廃棄率を算定するのが望ましいと考えます。
- 食品標準成分表の廃棄率は正確でない場合があるからです。廃棄率は,5%以上だと5刻みの値となっており,実際とは誤差が生じる可能性が大いにあります
以上の2つの理由により,しっかりと自身で廃棄率を算定されることをおすすめします。とはいえ,どうしてもそれが難しい場合もあるかと思いますので,その際は前述した注意点を勘案しながら,弾力的に利用されると良いかと思います。
可食部率
可食部率の計算方法
可食部率は,購入状態の未加工の食材量に対して,廃棄部位を取り除いた後の普通に食べる部分の占める割合のことです。
簡単にいうと,食べられる部分の割合ですね。さきほどの廃棄率とは真逆の意味をもつ言葉となります。
計算式で示すと,以下のようになります:
これを,さきほどと同様にほうれん草で計算してみます。スーパーで買ってきたほうれん草の重量を80g,株元を廃棄した後の食べられる部分の重量が70gだったとします。上記の計算式に当てはめると,以下のようになります:
例)ほうれん草80g,可食部が70g の場合
可食部率 = 70(g) ÷ 80(g)
可食部率 = 0.875 → 87.5(%)
また,廃棄率と可食部率を合わせると1(100%)になりますので,以下にもできます:
可食部率 = 1 - 廃棄率
可食部重量の算出方法
上記を利用し,未加工の食材量の重量と廃棄率から,食べられる部位の重量 = 可食部重量 を算出することができます:
これも,同様にほうれん草で計算してみます。
例)ほうれん草80g,廃棄率 0.125 (12.5%) の場合
可食部重量(g) = (1 − 0.125) × 80(g)
可食部重量(g) = 70(g)
全体の重量と廃棄率から可食部重量の算出は,食事調査などの場面で使用されることが多いかと思います。その際に利用する廃棄率も,できればその人の調理方法を確認し,できるだけ正確なものを利用するのが望ましいと思います(秤量の場合は調理後を量ってほしいのだけど…)。ただ,そこまでできない場合は,食品標準成分表の廃棄率を活用しても致し方ないと考えます。
発注量の計算
では,いよいよ実際に発注量を計算してみましょう。
発注量を計算する際には,先で紹介した廃棄率や可食部率,重量変化率などの知識をしっかりと活用しなければなりません。以下では,具体的にまたもやほうれん草を題材として説明していきます。 例)ほうれん草のおひたし200食分を用意する。ほうれん草1食分の純使用量は70g,廃棄率は12.5%,とした場合の発注量(総使用量)を算出する
総使用量を算出するためには,以下のように計算します:
総使用量(g) = 純使用量 ÷ 可食部率 × 食数
・純使用量 :70(g)
・可食部率 :0.875 ※(1 - 廃棄率)
・食 数 :200
それぞれを当てはめると,
総使用量(g) = 70(g) ÷ 0.875 × 200
総使用量(g) = 16,000(g)
となります。これが,発注量計算の基本ですね。
まとめ
今回は,発注量計算の基本を紹介しました。廃棄率と可食部などの,基本的な知識が理解できていればまったく難しくありません。次回は,重量変化率と成分変化率について取り上げます。
※続編はこちら→「栄養価計算のための重量変化率と成分変化率について」