私たちが野菜を食べる健康上の理由を整理する

食品・栄養素
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みなさん,こんにちは.
シンノユウキ(shinno1993)です.

「健康上,何のために野菜を食べるのか?」と聞かれて「ビタミン・ミネラルを摂取するため」と答えるのでは及第点とは言えないかと思います(もちろん間違いではないですが)。実は野菜に含まれるビタミンはそれほど多くありません。しかし,だからといって野菜を食べなくてもよいという意味ではなく,それ以外にも野菜を食べる健康上のメリットが存在します。今回はその周辺を整理していきたいと思います。

野菜に含まれるビタミン・ミネラルはそれほど多くない

積極的に食べることを推奨される野菜。しかし,野菜に含まれるビタミン・ミネラルはそれほど多くはないのです。

例として,ビタミンB1を考えてみましょう。ビタミンB1は,糖質をエネルギーとして活用する際に利用されたり,また脚気の予防にも寄与したりしている栄養素ですが,実は野菜にはそれほど含まれていません。以下で代表的な野菜と豚肉(豚ロース)でビタミンB1の量を比較しました:

見ての通り,野菜にはほとんどビタミンB1は含まれておらず,豚肉に多く含まれていることがわかります。このことは,ビタミンB1だけに限らず,他のいくつかの栄養素でも同様のことが言えます。つまり,「野菜をとる目的はビタミン・ミネラルを摂ること」ということは,必ずしも正しいとは限らないのです。

野菜を食べる目的(健康への観点から)

とはいえ,それを根拠に野菜を食べなくてもよい,ということを言いたいわけでは当然ありません。「ビタミンやミネラル」はやや広すぎますので具体的にしたいところですし,それ以外にも目的はあるかと思います。下記で整理していきたいと思います。

野菜を食べることで,エネルギーの摂りすぎを防ぐことができます。野菜は,その かさ の割には低エネルギーな食品です。たくさん食べても,摂取するエネルギーはそれほど多くありません。これは食物が不足していた時代ではそれほど重宝されなかった野菜の機能でしょうが,肥満が蔓延している現代においては重要になっています。実際に,野菜摂取量と体重との関係を調べたシステマティック・レビューでは,野菜の摂取量が多いと体重増加のリスクが減少していたことを報告しています(R)。肥満を防ぐことは,健康管理において重視したいポイントです。そういった肥満を防げるという意味でも,積極的に野菜を食べていきたいところです。

加えてカリウムや食物繊維,ビタミンCの供給源となっていることも忘れてはなりません。たとえば,204人の大学生を対象に食事調査を実施し,カリウムの供給源を調べた研究では,カリウムの22.3%を野菜から摂取しており,それは食品群の中で最も高い割合を占めていることを報告しました(R)。また別の研究では,食品から摂取するビタミンCの48%を野菜から摂取していたとする報告もあります(R)。ここで具体的に挙げた栄養素以外にも,日常の栄養素摂取に野菜が大きく寄与している例はあります。特別にビタミンやミネラルが豊富というわけではありませんが,それらの一部については,やはり野菜が重要な供給源になっているのです。

野菜をしっかり食べることの健康効果

野菜をしっかりと食べることは健康上有益な効果をもたらします。主に心血管疾患の予防に寄与しており,また全死亡率の減少にも関与しているとされており,野菜をしっかりと食べることの根拠にもなっています。

野菜の摂取は心血管疾患の予防に関係しています。これは世界各国の研究に加えて,日本のコホート研究の結果でも明らかになっています(R)。野菜の摂取量が多いと心血管疾患のになる危険が少なくなることがわかっています。先で紹介した各種の栄養素が寄与した結果と考えられます。

出典・作図)Nagura, Junko, et al. "Fruit, vegetable and bean intake and mortality from cardiovascular disease among Japanese men and women: the JACC Study." British Journal of Nutrition 102.2 (2009): 285-292.

加えて,野菜と果物の摂取量が多くなると全原因による死亡率も低下する傾向にあります。16のコホート研究の含まれるメタアナリシスでは,野菜や果物を摂取していた人では,していなかった人と比べて,全原因による死亡リスクが低かったことを報告しています(R)。今のところ,日本人においてはこのような傾向は観察されていませんが,このような研究結果を勘案すると,やはり野菜は食べたほうがよい,という方向の結論にはなるかと思います。

出典)Wang, Xia, et al. "Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies." Bmj 349 (2014): g4490.

果物もしっかりと食べたい

野菜だけでなく,果物もしっかりと食べたいところです。先に紹介した研究でも,野菜+果物で研究結果が検討されていました。この2つは栄養学的な特性が似ていることから,しばしばまとめて扱われることがあります。野菜の摂取量については,「野菜350g」ということで言及されたりしますが,果物についてはそれほど触れられなかったりします。

残念ながら,果物の摂取量は少ないのが現状です。平成29年度国民健康・栄養調査の結果を見てみると,たとえば30-39歳の果実類の摂取量の平均値は,52.1gとなっていました(R)。成人の平均値とかでみるともう少し高くなるのですが,これは高齢者が平均値を押し上げているためです。もう少し若い世代に目を向けると,果物の摂取量はかなり少ないのが現状なのです。

バランスの良い食事の目安となる「食事バランスガイド」では,1日に200g程度の果物を摂取することを勧めています(R)。それを鑑みると,かなり摂取量が少ないことがわかるでしょう。間食や食後のデザートとして,果物をもっと活用したいですね。

まとめ

今回は野菜を食べる目的について紹介しました。必ずしも,「野菜はビタミン・ミネラルを摂るために食べる」ではないことを理解いただけたのではないでしょうか。野菜を食べる目的を(ある程度は)認識しながら,食べたり健康について考えたりしたいですね。

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