水道水の無機質を栄養計算に加算する方法

みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。

「より正確な栄養計算を行いたい」と考えたとき,意外と見落とされがちなのが水道水の存在です。

「たかが水」と思われがちですが,私たちは毎日多くの水を摂取しており,そこに溶け込んでいる無機質の量は,積み重なると意外と無視できない数値になることがあります。より厳密な栄養管理が求められる場面では,水道水に含まれる無機質を考慮する必要があります。

今回は,水道水に含まれる無機質が摂取量に与える影響と,実際に栄養計算を行う場合の計算方法について解説します。

水道水から摂取できる無機質の量は?

まず,水道水の摂取が無機質の与える影響を見ていきたいと思います。

水道水に含まれる無機質の量

日本食品標準成分表には,全国7,142施設のデータを集計した無機質の成分値が収載されています。全国と9地域について収載されているので,該当地域における中央値を使用するのが簡便で良さそうです。リンク先の第3章4「水道水中の無機質」表26を参照してください。下記にそれぞれの地域の中央値を示します。

地方区分ナトリウム(mg)カルシウム(mg)マグネシウム(mg)鉄(mg)亜鉛(mg)銅(mg)マンガン(mg)セレン(µg)硬度
全国0.791.130.270000039
北海道0.900.840.200000029
東北0.830.810.190000028
関東0.881.770.420000061
中部0.591.040.250000036
近畿0.831.100.260000038
中国0.860.980.230000034
四国0.611.270.300000044
九州0.981.270.300000044
沖縄1.801.180.280000041

出典)日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

また,それぞれの地域の浄水場のデータを利用する方法もあります。日本水道協会が公開している「水道水質データベース」を確認すると,それぞれの地域の浄水場のデータを確認できます。たとえば,私が住んでいる地域では,主に東京都の三園浄水場で作られたものです。2025年度の平均値は,硬度74mg/L,鉄や亜鉛,銅は0.01mg/L未満,ナトリウムは1.60mg/Lであったことなどがわかります。

硬度からカルシウム・マグネシウムを計算する方法
日本食品標準成分表では,以下の計算式で算出しています。これを使うと良いでしょう。
・カルシウム(mg/100g) = 硬度(mg/100g) ÷ 2.497 × 0.72
・マグネシウム(mg/100g) = 硬度(mg/100g) ÷ 4.118 × 0.28
例:硬度74mg/L(7.4mg/100g)では,カルシウムは約2.13mg/100g,マグネシウムは約0.50mg/100gとなります。

日本人の水道水摂取量

日本人の水道水摂取量は,日本人を対象に水道水摂取量を調査した研究によると,平均で1,287mLであったと推定されています。これは,直接水道水として摂取した水道水と,調理済み食品や飲料から間接的に摂取した水道水を合計した値です。季節によって変動はあるものの,およそこの位の量を摂取していると考えて差し支え無さそうです。

水道水由来の無機質摂取量

上記を踏まえると,日本人が水道水から摂取している無機質の量も概算できます。

例としてカルシウムについて計算してみましょう。1日あたりの水道水の摂取量が1,287mLでした。日本食品標準成分表に記載されている全国7,142施設の中央値は100gあたり1.13mgとされています。これらの値から計算すると,水道水に由来するカルシウム摂取量は約14.4mgとなります。

この14.4mgを多いと見るか少ないと見るかは,個人の考えだと思います。しかし,正確な栄養計算のためには考慮するに値する量だとは言えるでしょう。また,食品表示基準によって定められている栄養素等表示基準値では,カルシウムの基準値は700mgとされています。14.4mgはその2%に相当するため,摂取量評価の観点からも無視できるものではありません。

水道水の栄養計算

次に水道水を栄養計算する方法について,具体的にみていきましょう。水道水を直接飲む場合と,水道水を調理に使用する場合について,それぞれ説明します。

ケース1:水道水を直接飲む

水道水を直接飲む場合は,シンプルです。成分値をそのまま計算すれば良いでしょう。たとえば,関東地方の水道水を200g摂取した場合の水分とカルシウムは,「水道水(関東)」を200gで計算し,水分200g,カルシウム3.54mgとなります。

ケース2:水道水を調理に使用する

水道水を調理に使用した場合は,加水した量の水道水の無機質を加えればOKです。例えば,関東地方の水道水を200g摂取した場合の水分とカルシウムは,「水道水(関東)」を200gで計算し,カルシウム3.54mgを加算すればOKです。この時,水分摂取量も正確に求めたい場合は,調理後食品にすでに水分が計上されているため,水道水の水分は加算しないようにします。

加水した量がわからない場合は,調理後食品の重量,重量変化率と加水量を加味して計算します。例えば,関東地方の水道水を用いて調理された「01088 こめ [水稲めし] 精白米 うるち米」を,300kcal(192g)摂取した場合,重量変化率210%,加水量1.4倍(食品標準成分表を参照)なので,使用された米は約91g(192/2.1),加水量は約128g(91×1.4)となります。この加水量の128gで計算し,カルシウム約2.27mgとなります。

まとめ

本記事では,水道水由来の無機質を栄養計算に加える意義と具体的な方法について解説しました。水道水の無機質濃度は地域によって異なり,日々の摂取量を踏まえると決して無視できない栄養源となるため,より精度の高い栄養評価を行うには,飲用や調理などのケースに合わせて適切に数値を加算することが重要です。加水量に基づいた無機質の算出や水分量の重複に注意しながら,ぜひ日々の計算プロセスに水道水のデータも組み込んでみてください。

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